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 投稿に関するQ&A

手話学研究について、会員の皆様からいただいた主なご質問とその回答を掲載いたします。

原著論文と研究ノートの違いがよく分かりません。

まず、原著論文と研究ノートの違いですが、「研究成果をまとめた論文」であるか「資料的な論文」であるかの違いです。

以下は、「科学技術論文」の考え方に従って記述しておりますので、もしかしたら文化系の論文には当たらない所があるかもしれませんので、その点は割り引いてご覧下さい。

一般的に論文には「三要素」とよばれる論文が備えているべき条件があります。「新規性」「有効性」「信頼性」です。

  • 新規性: その論文に書かれている事項が初めて提案・提示されるものであること。筆者はこれを、他の先行研究を適切に参照しながら自らの投稿論文が持つ新規な点が何処にあるかを明確に示すことが必要です。査読者は新規性がないと判断する場合には、先行事例を示す必要があります。
  • 有効性: その論文に書かれている事項が目的としている事項(社会的事項であったり科学的事項であったりする)に対して効果を有すること。筆者はその研究が必要とされる背景を適切に説明した上で、自ら定義した必要性に対して適切に効果を発揮することを論述することが必要です。査読者は有効性がないと判断するのであれば、これを「主観」でなく「客観的」に説明する必要があります。
  • 信頼性: その論文の論理展開に飛躍が無く、論旨が明確であること、および、実験条件が明確に示され読者が同一(あるいは類似)の実験を行い、追評価できること(再現性があること)。査読者は信頼性がないと判断するのであれば、投稿論文内の論理のほころびを明示して示す必要があります。
    ただし、再現性は研究の種類によっては必ずしも必要とはされません。文学研究やフィールドワークなどの質的研究の場合には主観を完全に排除することはほぼ不可能ですから、サンプルや場の選択基準、研究者の立場や限界性を明示して読者にとっても納得のいく妥当性を示すように配慮することが行われていると考えられます。また、事例的研究とよばれる、一つのサンプル(個人や集団など)について詳細な調査を行って総合的・系統的に分析して知見を得るような研究の場合は、再現性を議論すること自身が意味をなさないと考えられます。

一般的には、この三つが揃って初めて「原著論文」とみなされます。このうち「有効性」や「信頼性」には欠けるかもしれないけれど、新規性が極めて高かったり、読者が当該分野の研究を進める上で参照する価値がある情報を含む場合には「研究レター」となります。学会によっては、新規性に特に注目して「研究速報」という形をとることもありますが、手話学研究においては「速報性」が重要なのではなく、学問分野全体の底上げのために「参考になる」情報や研究・論考などをより多く取り上げるべきであるという考え方のもとで、「速報性」だけではなく「資料性」があるものも採用する「研究レター」とさせて頂いています。

なお、論文の書き方などの一般論については、下記の文書がよくまとまっていますので、ご参照下さい。

原著論文として投稿したものを査読の結果、研究ノートに変更するような指示が行われることはありますか?

学会や編集委員会が「指示」をすることはありませんが、査読者が「原著論文としては採録できないが、研究ノートとしてであれば採録できる。」と判断することはあります。なお、一回目の査読では「照会」となりますので、照会後の再提出時に「研究ノート」に変更していただくことは可能ですが、二回目の査読の場合は「原著論文」として投稿されたものを「原著論文としては採録できない」との判断になりますので、いったん「不採録」とすることになります。照会後再査読時であれ、再投稿時であれ、査読者の意見を受け入れて「研究ノート」とするかどうかは、全て著者の判断にゆだねられます。

総説や提言とはどういうものなのですか、原著論文や研究ノートとの違いがよく分かりません。

総説とは、一般的に、過去から現在に至る当該領域の関連論文や関連情報をまとめて新たな視点から整理し、当該研究分野の動向を俯瞰したり今後の研究の方向性を論じたりするようなものです。自らの新しい着想に基づいて研究を行う「原著論文」や「研究ノート」とは全く性質が異なります。

一方、提言とは学会や会員に対する「問題提起」や「提案」を行うものです。基本的に研究分野の俯瞰を行う総説や、自らの研究を記述する「原著論文」「研究ノート」などとは全く性質が異なってきます。

論文などのページ数制限や論文の種類によるページ数の違いはあります?

 手話学会では、記事の種類にかかわらず、現時点では記事の長さについては特に制限を設けておりません。将来的には長さをある程度定めることも必要かと存じますが、研究分野によって論文の長さの基準が異なりますので、一概に定めることは難しく、今後会員の皆様と議論させていただければと思っています。

ろう者が投稿した日本語原稿の校閲を受けられるのならば、英文原稿を投稿した場合、学会で英文校閲を手配することはできますか?

校閲とは一般的に「ネイティブチェック」とよばれる作業で、その言語の母語話者(ネイティブスピーカ)が、対象となる原稿に言葉としての間違いがないか、意味が通っているかを確認する作業です。論文の査読などの作業もそうですが、日本語校閲の作業も(主に)会員の中からボランティアを募って実施する予定であり、当初は理事や編集委員で手分けしてその任に当たることになると考えております。残念ながら日本手話学会には英語のネイティブスピーカはほぼおいでにならず、「英語の校閲(ネイティブチェック)」をボランティアで受けていただける方はほぼおられないでしょうから、編集委員会がこれをサポートすることは不可能であろうと思っております。

なお、日本語校閲について特に内規を設けたのは、「信頼性」との関連が非常に難しいからです。日本語として意味が通るように直そうという作業が行き過ぎると、論文の論理構造にまで手が入ってしまう可能性があります。しかし、論文の論旨にまで手を入れてしまうと、それはもはや「校閲」ではなく、論文の「共著」作業や「査読」作業と同等になってしまいます。あくまでも日本語校閲者は「言葉」としての日本語の編集だけが責務ですよと言うことを明確にするために「内規」をもうけました。

日本語を母語とされないかたが論文投稿をされやすいように、学会で少しでもサポートをしたいと言うことで日本語校閲制度を作りましたし、会員の皆様には積極的に利用、あるいは、ボランティアとして支援していただきたいと思います。しかし、上記のような問題をはらみますので、可能な方には、気心の知れた日本語母語話者の方と論文作成をしていただいたり、プロの校閲者の校閲サービスを受けて頂いたりすることをおすすめします。

投稿者が「この人は査読者から外してほしい」と希望することはできますか?

投稿者が査読者を指名する(あるいは除いてほしいとする)ことは出来ません。

手話学会の査読は、これまでもこれからも、「ダブルブラインド制」と呼ばれる方式で行われます。これは、著者には誰が査読者であるかを明かさず、査読者には誰が著者であるかを明かさない方法です。どの査読者がどの論文を査読したのかは担当編集委員のみが知っています。著者に査読者が誰であるかを明かさない以上、著者が査読者を指名したり、除いてほしいと希望しても、これがかなえられているかどうかを著者が知ることはできません。したがって、ご希望を頂いても基本的に意味がないことになります。

査読が適切でないと著者が感じた場合には、査読規定にあるとおり、著者は一度だけ「異議申し立て」を行うことが出来ます。ただし、その「異議申し立て」はあくまでも査読意見が明らかに公平・公正を欠くと著者が判断した場合に行うものであり、どう公平・公正でない(客観的でない)のかを著者に示して頂く必要があります。著者の異議を受けて編集委員会が最終的に、査読が公平・公正であったかどうかを判定することになります。

 

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